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ストレスチェックの結果は会社の誰が見られる? ―同意・5年保存・共有範囲のルール

公開日:2026年8月31日 / 最終更新:2026年8月31日

🤖 3行でわかる結果の取扱いルール

  • ストレスチェックの結果は、本人の同意がなければ会社(事業者)に渡りません。労働安全衛生法第66条の10第2項が、検査を行った医師等に対して、同意を得ないで結果を事業者に提供することを禁じています。同意は書面または電磁的記録で、結果を本人に通知した後に取ります(実施前・実施時の取得は指針が禁止)。
  • 記録の保存は、同意の有無で責任者が変わります。同意ありなら事業者が記録を作成して5年間保存(規則第52条の13第2項)。同意なしなら事業者は結果を持たないため、実施者側の保存が適切に行われるよう場所・期間・セキュリティを整える側にまわります(規則第52条の11)。
  • 同意を得た後も無制限ではありません。指針は、就業上の措置に必要な範囲を超えて上司・同僚に共有してはならないとしています。実施の事務に従事した人には労働安全衛生法第105条の守秘義務がかかります。
編集

執筆・編集:山下 勝之(C&C株式会社 代表取締役)

中小企業向けストレスチェック外部委託サービスの比較メディア「ストレスチェック比較ナビ」運営責任者。本記事は厚生労働省の公表資料および法令本文をもとに作成し、内容を確認しています。

「結果は人事が見るんですか」——ストレスチェックの案内を出すと、社員から最初に来る質問がこれです。ここで担当者が曖昧な答え方をすると受検率が落ち、制度そのものが機能しなくなります。しかも実務側には、同意の取り方・記録を誰が何年持つか・受け取った結果をどこまで社内で共有できるかという、間違えると法令違反になりかねない論点が並んでいます。この記事では、労働安全衛生法・規則の条文と厚生労働省の指針・Q&Aをもとに、結果の取扱いルールを整理します。

大原則:同意がなければ結果は会社に渡らない

ストレスチェックの結果の取扱いは、労働安全衛生法第66条の10第2項が出発点です。同項は、事業者は検査を受けた労働者に対し検査を行った医師等から結果が通知されるようにしなければならないと定めたうえで、後段で次のように続けています。「この場合において、当該医師等は、あらかじめ当該検査を受けた労働者の同意を得ないで、当該労働者の検査の結果を事業者に提供してはならない」。

結果はまず実施者から本人へ直接通知され(労働安全衛生規則第52条の12は、事業者は、検査を受けた労働者に対し、検査を行った医師等から遅滞なく結果が通知されるようにしなければならないと定めています)、そこから会社に渡るかどうかは本人が決める、という順序です。厚生労働省の指針も、事業者がストレスチェック制度に関する労働者の秘密を不正に入手するようなことがあってはならないとしたうえで、労働者の同意なくストレスチェック結果が事業者には提供されない仕組みとされている、と説明しています。

通知の方法についても指針は、事業者は実施者に結果を労働者に通知させるに当たっては、封書または電子メール等で当該労働者に直接通知させる等、結果を当該労働者以外が把握できない方法で通知させなければならないとしています。結果一覧を職場で配る、上長経由で手渡すといった運用は、この時点で外れます。

📌 用語の整理:実施者・実施事務従事者・実務担当者

結果を扱えるのは実施者(規則第52条の10第1項=医師、保健師、研修を修了した歯科医師・看護師・精神保健福祉士・公認心理師)と、その指示を受けて調査票のデータ入力や記録の保存等に携わる実施事務従事者です。規則第52条の10第2項により、検査を受ける労働者について解雇、昇進または異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者は、検査の実施の事務に従事してはならないとされています。
一方、実施計画の策定や外部機関との連絡調整といった実務担当者は別の役割です。指針は、実務担当者には衛生管理者またはメンタルヘルス指針に規定する事業場内メンタルヘルス推進担当者を指名することが望ましいとしたうえで、実務担当者は実施者・実施事務従事者と異なりストレスチェック結果等の個人情報を取り扱わないため、労働者の解雇等に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者を指名することもできる、としています。「人事部長でよい」ではなく「衛生管理者等が望ましく、難しければ人事権のある人でも差し支えない」という順序です。実施者と実施事務従事者の違いは、職業性ストレス簡易調査票(57項目)の記事でも整理しています。

同意の取り方とタイミング(実施前・実施時はNG)

同意の形式は規則に定めがあります。労働安全衛生規則第52条の13第1項は、法第66条の10第2項後段の規定による労働者の同意の取得は、書面または電磁的記録によらなければならないとしています。口頭やその場の挙手で済ませる運用は認められていません。

間違えやすいのはタイミングです。厚生労働省の指針は、ストレスチェック結果が当該労働者に知らされていない時点で事業者への提供について同意を取得することは不適当であるとして、事業者は実施前または実施時に労働者の同意を取得してはならないと明記しています。受検申込書に「結果の会社提供に同意します」というチェック欄を作る設計は、この時点で不適当ということになります。

指針が認めているのは、次のいずれかの方法です。

  • 結果を通知した後に、事業者・実施者・その他の実施事務従事者が、受検した労働者に対して個別に同意の有無を確認する方法
  • 結果を通知した後に、実施者またはその他の実施事務従事者が、高ストレス者として選定され面接指導を受ける必要があると実施者が認めた労働者に対して、面接指導の対象であることを他の労働者に把握されないような方法で、個別に同意の有無を確認する方法

あわせて指針は、事業者は労働者に対して同意を強要する行為または強要しているとみなされるような行為を行ってはならないことに留意するよう求めています。「提出しない人は理由を書いて」といった運用は、強要とみなされる余地があります。

実務上ありがたい整理も2つあります。ひとつは、指針が「ストレスチェックを受けた労働者が、事業者に対して面接指導の申出を行った場合には、その申出をもってストレスチェック結果の事業者への提供に同意がなされたものとみなして差し支えない」としている点です。面接指導の申出をした人から改めて同意書を取り直す必要はありません。もうひとつは、厚生労働省のストレスチェック制度関係Q&A(Q8-2)が、労働者本人が結果を見て同意するかどうか判断できるため、結果の通知時に同意確認書類を同封することは可能だとしている点です。通知と同意確認を1通にまとめれば、事務は1往復で済みます。

💡 「そもそも会社は結果を見ない」と決めることもできる

厚生労働省のストレスチェック制度関係Q&A(Q8-1)は、全労働者の結果を事業者へ情報開示しないことを事業場で取り決めてよいかという問いに対し、事業場の衛生委員会等で調査審議を行ったうえで、事業者は個々人のストレスチェック結果を把握しないこととすることは可能であり、この場合は労働者の同意を得る手続きを省略することができると回答しています。少人数の会社では、社員の不安を減らしつつ事務も軽くなる選択肢です。ただし、この取り決めをしても会社が何もしなくてよくなるわけではありません。実施者側での記録の保存が適切に行われるよう措置を講じる義務(規則第52条の11。後述)は残りますし、労働者から面接指導の申出があれば、その労働者については事業者が面接指導を行う必要があります(法第66条の10第3項)。

「受検したかどうか」は同意なしで把握できる

結果そのものと、誰が受検したかという情報は扱いが分かれます。指針は、事業者は実施者から受検した労働者のリストを入手する等の方法により労働者の受検の有無を把握し、受けていない労働者に受検を勧奨することができるとし、この場合において実施者が受検の有無の情報を事業者に提供するに当たって労働者の同意を得る必要はないとしています。

厚生労働省のストレスチェック制度関係Q&A(Q5-3)も、最終的な受検の有無の情報について、受検の有無の情報は個人情報という取扱いにはならないため事業者に提供することは可能だと回答しています。ただし同Q&Aは、どのような目的で最終的な受検の有無の状況を事業者に提供するのか、不利益な取扱いにつながらないようにすることなどについて、衛生委員会等で調査審議を行い社内のルールとして決めておくことが望ましいと付け加えています。

受検しないこと自体を理由に不利益な取扱いをすることは指針が禁じています。受検勧奨をどう設計するかは、ストレスチェックを拒否する社員への対応で詳しく整理しています。

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記録の保存:同意の有無で責任者が変わる

「ストレスチェックの結果は5年保存」とだけ覚えていると、実務で迷います。同意があるかどうかで、保存する主体も、5年が義務なのか望ましいのかも変わるからです。

場面 記録を保存するのは誰か 期間と根拠
本人の同意を得て、事業者が結果の提供を受けた場合 事業者が結果の記録を作成して保存する 5年間の保存が義務(規則第52条の13第2項)
同意が得られていない場合 事業者は結果を受け取らない。実施者を含む実施事務従事者が保存し、事業者は保存が適切に行われるよう必要な措置を講じる 事業者の措置義務は規則第52条の11。実施者等による5年間の保存は指針が「望ましい」とする水準
面接指導を行った場合の結果の記録 事業者が記録を作成して保存する 5年間の保存が義務(規則第52条の18第1項)

規則第52条の11は、事業者は第52条の13第2項に規定する場合を除き、検査を行った医師等による当該検査の結果の記録の作成の事務および当該検査の実施の事務に従事した者による当該記録の保存の事務が適切に行われるよう、必要な措置を講じなければならないと定めています。指針はこの「必要な措置」の中身として、記録の保存場所の指定、保存期間の設定およびセキュリティの確保等を挙げています。会社が結果を見ないからといって、何もしなくてよいわけではないという点が要注意です。

誰に保存させるかについて指針は、この場合の記録の保存は実施者がこれを行うことが望ましく、実施者が行うことが困難な場合には、事業者は実施者以外の実施事務従事者の中から記録の保存事務の担当者を指名するものとしています。そのうえで、実施者または実施者以外の実施事務従事者が記録の保存を行うに当たっては、5年間保存することが望ましいとしています。ここは「しなければならない」ではなく「望ましい」という表現である点を、そのまま押さえておいてください。

面接指導の記録については、規則第52条の18第2項が記載事項を定めています。指針はこれを、①面接指導の実施年月日、②当該労働者の氏名、③面接指導を行った医師の氏名、④当該労働者の勤務の状況、⑤当該労働者の心理的な負担の状況、⑥その他の当該労働者の心身の状況、⑦当該労働者の健康を保持するために必要な措置についての医師の意見、と整理しています。面接指導の進め方は医師による面接指導の進め方で解説しています。

なお、集団ごとの集計・分析については、指針が「その結果に基づき、記録を作成し、これを5年間保存することが望ましい」としています。こちらも義務ではなく望ましい水準です。集団分析の位置づけは集団分析の活用方法で整理しています。

保存の形式については、指針が書面による保存と電磁的記録による保存の両方があるとし、電磁的記録による保存を行う場合は、厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令(平成17年厚生労働省令第44号)に基づき適切な保存を行う必要があるとしています。

担当者・委託先が代わるときの引き継ぎ

5年という期間の中では、担当者の異動や委託先の変更が起こります。ここで「過去の結果を引き継いでよいのか」が問題になりますが、厚生労働省のストレスチェック制度関係Q&A(Q10-2)が正面から答えています。

同Q&Aは、保存を担当する者が変更になる場合、過去のストレスチェック結果を引き継ぐことは可能だとしています。理由として、事業者には記録の保存が適切に行われるよう必要な措置を講じる義務があり、保存を担当する者が変更された場合も保存が適切に継続されるような対応が法令上求められていること、その中には保存を担当する者の指名や、変更した場合の結果の引き継ぎも含まれることを挙げています。そのうえで、事業者の指示に基づき、これまでの保存担当者が新たに指名された保存担当者に過去の結果を提供する行為は、規則第52条の11で義務付けられている行為を遂行するために必要な行為であり、本人同意を取得する必要はないとしています。

外部委託先が毎年変わる場合については、同Q&A(Q10-1)が、外部機関の委託先が変われば、それぞれの外部機関が実施した分の結果をそれぞれの機関で保存することになると説明しています。一方で、外部委託した場合でも事業場の産業医が共同実施者になっていればその産業医が保存することも可能であり、その産業医のほかに実施事務従事者がいればその者が保存することも可能であるため、産業医や実施事務従事者(事業場内の衛生管理者など)に保存をさせることとして、各事業場において毎年の結果の記録を保存することも可能だとしています。

委託先が毎年変わると、5年分の記録が複数の外部機関に分散します。委託先を選ぶ段階で、保存の場所・期間・契約終了後の取扱いを確認しておくと、後から探し回らずに済みます。委託先の見極め方は50人未満のストレスチェック実施方法でも触れています。

同意を得た後も、共有できる範囲には制限がある

同意を得れば社内で自由に使えるわけではありません。指針は複数の段階で範囲を絞っています。

提供される情報の範囲

指針は、事業者への結果の提供について労働者の同意が得られた場合には、実施者は事業者に対して当該労働者に通知する情報と同じ範囲内の情報について結果を提供することができるとしています。あわせて、衛生委員会等で調査審議したうえで、結果そのものではなく当該労働者が高ストレス者として選定され面接指導を受ける必要があると実施者が認めた旨の情報のみを事業者に提供する方法も考えられるとしています。ただしこの方法による場合も、前掲の2つの方法のいずれかにより労働者の同意を取得する必要がある点は変わりません。

社内での共有範囲

指針は、事業者は、本人の同意により事業者に提供されたストレスチェック結果を、当該労働者の健康確保のための就業上の措置に必要な範囲を超えて、当該労働者の上司または同僚等に共有してはならないとしています。「共有してはならない」という強い表現です。人事部内で共有する範囲、上長にどこまで伝えるかは、この基準で線を引くことになります。

面接指導の結果はさらに絞られる

面接指導を実施した医師が事業者に情報を提供する場面について、指針は、必要に応じて情報を適切に加工することにより、当該労働者の健康を確保するための就業上の措置を実施するため必要な情報に限定して提供しなければならないとし、診断名、検査値もしくは具体的な愁訴の内容等の加工前の情報または詳細な医学的情報は事業者に提供してはならないとしています。事業者が受け取るのは「どんな就業上の措置が必要か」であって、病名や検査値ではない、という整理です。

外部機関に全部委託した場合

指針は、事業者が外部機関にストレスチェックの実施の全部を委託する場合(当該事業場の産業医等が共同実施者とならない場合に限る)には、当該外部機関の実施者およびその他の実施事務従事者以外の者は、当該労働者の同意なく結果を把握してはならないとしています。外部機関の実施者が結果を委託元の産業医等に限定して提供することも考えられるとしつつ、この場合にも緊急に対応を要する場合等特別の事情がない限り、労働者の同意を取得しなければならないとしています。

守秘義務と罰則(条番号の注意点)

📌 前提:ここまでの「指針」と、これから述べる「罰則」は性質が違う

ここまで引用してきた指針の記述は、労働安全衛生法第66条の10第7項に基づいて厚生労働大臣が公示したものです。指針に沿わない取扱いをしたこと自体に、直接の罰則は定められていません(労働基準監督署による指導等の対象になり得ます)。これに対して、以下で述べる法第105条の守秘義務違反には罰則があります。「上司に結果を共有したら刑罰」という意味ではありませんが、指針に反する取扱いが放置してよいものだという意味でもありません。

ストレスチェックの実施の事務に従事した人には、法律上の守秘義務がかかります。現行の労働安全衛生法第105条は、健康診断や面接指導とあわせて、第66条の10第1項の規定による検査または同条第3項の規定による面接指導の実施の事務に従事した者は、その実施に関して知り得た労働者の秘密を漏らしてはならないと定めています。実施者だけでなく、データ入力や記録の保存を担当する実施事務従事者も対象です。

この義務に違反した場合、労働安全衛生法第119条第1号が第105条をその対象に挙げており、6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金と定められています。さらに同法第122条は、法人の代表者または法人もしくは人の代理人・使用人その他の従業者が、その法人または人の業務に関して第119条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人または人に対しても各本条の罰金刑を科すという両罰規定を置いています。条文の「人」には個人事業主も含まれるため、法人に限った規定ではありません。ストレスチェック制度全体の罰則・行政指導の整理はストレスチェック未実施の罰則と行政指導をご覧ください。

⚠️ 指針・Q&Aの「法第104条」は、当時の条番号

厚生労働省の指針とストレスチェック制度関係Q&Aは、実施事務従事者の秘密の保持義務の根拠として「法第104条」と記載しています(たとえばQ&A Q10-2は、保存担当者の交代に伴う引き継ぎについて「安衛法第104条に抵触もせず」と述べています)。これは資料が作られた当時の条番号です。指針の最終改正は平成30年8月22日、Q&Aの最終更新は平成28年8月30日で、いずれも条番号が動く前の時点です。実際、e-Gov法令検索で2018年(平成30年)9月1日時点の労働安全衛生法を参照すると、当時は第104条が「健康診断等に関する秘密の保持」で、第105条は「削除」でした。現行法では第105条が秘密の保持を定め、第104条は「心身の状態に関する情報の取扱い」という別の規定になっています。
現行の第104条第1項は、事業者に対し、この法律またはこれに基づく命令の規定による措置の実施に関して労働者の心身の状態に関する情報を収集・保管・使用するに当たっては、健康の確保に必要な範囲内で収集し、収集の目的の範囲内で保管・使用することを求めています(本人の同意がある場合その他正当な事由がある場合を除く、というただし書があります)。同条第2項は、これらの情報を適正に管理するために必要な措置を講じることを求めています。ストレスチェックは法第66条の10に基づく措置であり、本人の同意を得て事業者が受け取った結果は、この「心身の状態に関する情報」として取り扱うことになります。
厚生労働省の資料に出てくる条番号をそのまま社内規程に書き写すと、現行法とずれます。条番号を引用するときは、e-Gov法令検索で現在の条文を確認してください。

実施前に衛生委員会等で決めておく項目

ここまでの論点の多くは、「実施者と相談して決め、社内規程に書いておく」という形で着地します。指針は、労働安全衛生規則第22条で衛生委員会等の付議事項とされている「労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること」の調査審議に、ストレスチェック制度に関する事項を含めるものとし、事業者は調査審議の結果を踏まえて実施に関する規程を定め、あらかじめ労働者に周知するものとしています。指針が挙げる11項目のうち、結果の取扱いに関わるのは次のあたりです。

  • 受検の有無の情報の取扱い:事業者による受検の有無の把握方法、受検の勧奨の方法
  • 結果の記録の保存方法:保存する実施事務従事者の選任、保存場所および保存期間、実施者およびその他の実施事務従事者以外の者に結果が閲覧されないためのセキュリティの確保等の情報管理の方法
  • 結果の利用目的および利用方法:本人への通知方法、結果・集団分析結果・面接指導結果の共有方法および共有範囲、事業者へ提供するに当たっての本人の同意の取得方法、同意を取得したうえで実施者から事業者に提供する情報の範囲
  • 情報の開示、訂正、追加および削除の方法:手続き、開示等の業務に従事する者による秘密の保持の方法
  • 情報の取扱いに関する苦情の処理方法:苦情の処理窓口を外部機関に設ける場合の取扱い

衛生委員会の設置義務は、常時50人以上の労働者を使用する事業場にかかるものです。設置義務のない50人未満の事業場については、労働安全衛生規則第23条の2が「委員会を設けている事業者以外の事業者は、安全又は衛生に関する事項について、関係労働者の意見を聴くための機会を設けるようにしなければならない」と定めています。厚生労働省の「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針」も、衛生委員会等を設置する義務がない常時50人未満の労働者を使用する事業場について、事業者は必要に応じてこの規則第23条の2に定める関係労働者の意見を聴く機会を活用する等により、労働者の意見を聴いたうえで取扱規程を策定し、労働者と共有することが必要だとしています。担当者が交代しても運用が揺れないようにするのが、規程化の実質的な狙いです。

2028年4月1日からは50人未満の事業場にもストレスチェックの実施が義務づけられます。準備の全体像は2028年ストレスチェック義務化の完全ガイドをご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q. ストレスチェックの結果を、会社が本人の同意なく見ることはできますか?

A. できません。労働安全衛生法第66条の10第2項は、検査を行った医師等について「あらかじめ当該検査を受けた労働者の同意を得ないで、当該労働者の検査の結果を事業者に提供してはならない」と定めています。厚生労働省の指針も、事業者がストレスチェック制度に関する労働者の秘密を不正に入手するようなことがあってはならないとしたうえで、労働者の同意なくストレスチェック結果が事業者には提供されない仕組みとされていると説明しています。ただし「誰が受検したか」という受検の有無の情報は別扱いです。厚生労働省のストレスチェック制度関係Q&A(Q5-3)は、受検の有無の情報については個人情報という取扱いにはならないため、事業者に提供することは可能だとしています。

Q. 結果を会社へ提供することへの同意は、いつ・どのように取ればよいですか?

A. 労働安全衛生規則第52条の13第1項は、同意の取得は書面または電磁的記録によらなければならないと定めています。タイミングについて厚生労働省の指針は、結果が本人に知らされていない時点で同意を取得することは不適当であるとして、事業者はストレスチェックの実施前または実施時に労働者の同意を取得してはならないとしています。認められているのは、結果を本人に通知した後に個別に同意の有無を確認する方法です。同指針は、同意を強要する行為や強要しているとみなされるような行為を行ってはならないことにも留意するよう求めています。なお同指針は、労働者が事業者に対して面接指導の申出を行った場合には、その申出をもって結果の提供に同意がなされたものとみなして差し支えないとしています。厚生労働省のストレスチェック制度関係Q&A(Q8-2)は、本人が結果を見て同意するかどうか判断できることから、結果の通知時に同意確認書類を同封することは可能だとしています。

Q. ストレスチェックの結果は何年間、誰が保存するのですか?

A. 本人の同意を得て事業者が結果の提供を受けた場合は、労働安全衛生規則第52条の13第2項により、事業者が結果の記録を作成して5年間保存しなければなりません。一方、同意が得られていない場合、事業者は結果そのものを受け取らないため保存の主体になりません。この場合は同規則第52条の11により、事業者は、医師等による記録の作成の事務と実施の事務に従事した者による記録の保存の事務が適切に行われるよう、必要な措置を講じる義務を負います。厚生労働省の指針は、その措置として記録の保存場所の指定、保存期間の設定、セキュリティの確保等を挙げ、保存は実施者が行うことが望ましく、実施者が行うことが困難な場合には実施者以外の実施事務従事者の中から保存事務の担当者を指名するものとしています。なお同指針は、実施者または実施者以外の実施事務従事者が保存を行う場合の5年間の保存については「望ましい」という表現にとどめています。面接指導を行った場合の結果の記録については、同規則第52条の18により、事業者が記録を作成して5年間保存しなければなりません。

Q. 同意を得て結果を受け取った後、本人の上司に共有してもよいですか?

A. 共有できる範囲には制限があります。厚生労働省の指針は、事業者は、本人の同意により事業者に提供されたストレスチェック結果を、当該労働者の健康確保のための就業上の措置に必要な範囲を超えて、当該労働者の上司または同僚等に共有してはならないとしています。面接指導の結果についても同指針は、面接指導を実施した医師は、必要に応じて情報を適切に加工することにより、就業上の措置を実施するため必要な情報に限定して提供しなければならないとし、診断名、検査値、具体的な愁訴の内容等の加工前の情報や詳細な医学的情報は事業者に提供してはならないとしています。誰とどこまで共有するかは、あらかじめ衛生委員会等で調査審議し、社内規程に定めて労働者に周知しておくことが求められます。

参考・出典

※本記事は、ストレスチェック結果の取扱いに関する法令および厚生労働省の公表資料の内容を、中小企業のご担当者向けに整理したものです。法令の条番号は本記事の公開時点でe-Gov法令検索により確認したものであり、厚生労働省の指針・Q&Aに記載された条番号とは異なる場合があります。自社の具体的な運用設計や規程の作成については、実施者(産業医など)、所轄の労働基準監督署、社会保険労務士など専門家にご確認ください。記載内容は公開時点の情報に基づいています。

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