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産業医がいない会社は、面接指導の医師をどう探す? ―高ストレス者対応で困らないための3つの確保ルート

公開日:2026年7月8日 / 最終更新:2026年7月10日

🤖 3行でわかる産業医がいない会社の面接指導医の探し方

  • 高ストレス者への医師面接指導は、産業医資格のない医師でも「労働者の健康管理等を行うのに必要な医学的知識を有する医師」であれば担当でき、産業医契約がない会社でも実施できる。
  • 担当医の確保ルートは、無料で使える地域産業保健センター、対応エリアや費用感を比較できる外部産業医紹介サービス、ストレスチェック実施委託先が面接指導まで一括対応するプランの主に3つがある。
  • 2022年11月9日で個別事業場向けの産業医活動助成金は新規申請が廃止されており、現在使えるのは商工会等の団体を経由する「団体経由産業保健活動推進助成金」に限られる。
監修

監修:山下 勝之(C&C株式会社 代表取締役)

中小企業向けストレスチェック外部委託サービスの比較メディア「ストレスチェック比較ナビ」運営責任者。本記事は厚生労働省および労働政策審議会の公表資料をもとに作成し、数字・法律・固有名詞を一次情報と照合して確認しています。

「ストレスチェックで高ストレス者が出たら、面接指導をお願いする医師が社内にいない」——産業医と契約していない会社の総務担当者が、実施方法を調べたあとに次にぶつかる壁がこれです。産業医紹介の現場では、嘱託産業医の多くが病院・クリニック勤務を本業としており活動時間が限られること、精神科が専門でない医師は高ストレス者対応に不安を感じやすいことなどが指摘されており、「見つからない」「断られる」という声も報告されています。この記事は、実施方法全体ではなく「面接指導を担当する医師をどう確保するか」という一点に絞って、現実的な選択肢を整理します。

なぜ50人未満の会社は産業医がおらず「面接指導」で困るのか

労働安全衛生法上、産業医の選任義務があるのは常時50人以上の労働者を使用する事業場です。50人未満の事業場には産業医の選任義務そのものがないため、そもそも「相談できる医師」が社内にも契約先にも存在しないケースが大半です。この状態でストレスチェックを実施し、高ストレス者本人から面接指導の申出があった場合、誰が面接を担当するのかという問題に直面します。

産業医紹介の現場からは、嘱託産業医の多くが病院・クリニック勤務を本業としており産業医活動に割ける時間が限られること、精神科を専門としない医師は高ストレス者対応に不安を感じやすいことが指摘されています。地域の医師会に紹介を依頼しても、すべての医師会が産業医紹介に対応しているわけではなく、契約成立までに時間がかかることがあるとも報告されています。つまり「医師を探し始めてから見つかるまでの時間」自体が、小規模事業場にとってのハードルになっているのが実情です。

面接指導は誰が担当できるのか

ここで押さえておきたいのは、面接指導を担当する医師は、産業医の資格を持つ必要はないという点です。労働安全衛生法上、面接指導を行う医師の要件は「労働者の健康管理等を行うのに必要な医学的知識を有する医師」とされており、産業医としての選任・登録は前提条件ではありません。

したがって、次のような医師であれば、産業医契約がなくても面接指導を担当できる可能性があります。

  • 地域のかかりつけ医・クリニックの医師(産業保健の知識を有する場合)
  • 地域産業保健センターに登録している医師
  • 産業医紹介サービスが紹介する、スポット契約可能な医師
  • ストレスチェック実施委託先が提携する医師

重要なのは「産業医を探す」のではなく「面接指導を担当できる医師を確保する」という発想に切り替えることです。この視点があるだけで、選択肢は大きく広がります。

選択肢1:地域産業保健センター(地さんぽ)

地域産業保健センターは、労働基準監督署の管轄区域ごとに設置されている、労働者数50人未満の事業場を主な対象とした国の支援窓口です。医師による面接指導や健康相談などを原則無料で利用できます。産業医と契約する費用をかけられない小規模事業場にとって、まず相談すべき窓口です。

ただし、対応可能な件数や予約の取りやすさはセンターの体制によって差があり、面接指導の受け皿や個別相談としての位置づけが中心になっている地域もあります。ストレスチェックの実施運営そのもの(調査票の配布・回収・集団分析など)まで丸ごと代行してくれるとは限らない点には留意が必要です。最新の対応内容と予約状況は、最寄りの地域産業保健センターに直接確認することをおすすめします。

項目内容
費用原則無料
対応内容医師による面接指導・健康相談が中心(地域差あり)
向いている会社費用を抑えたい、まず相談だけしてみたい会社
注意点予約の取りやすさ・対応範囲に地域差がある

選択肢2:外部産業医紹介サービス

産業医紹介会社を通じて、スポット契約や訪問頻度の低い契約が可能な医師を紹介してもらう方法です。比較検討する際は、次の観点を確認すると自社に合ったサービスを見極めやすくなります。

  • 対応エリア:自社の所在地に対応した医師を紹介できるか(地方の場合は対応可否の差が大きい)
  • オンライン面談の可否:訪問が難しい場合、オンラインでの面接指導に対応しているか
  • 費用感:紹介手数料の仕組み、月額顧問料の有無、面接指導1回あたりの費用が明確か
  • 契約の柔軟性:ストレスチェックの面接指導のみのスポット利用が可能か、年間契約が前提か

紹介会社を経由する場合、紹介手数料が発生する仕組み自体は業界内で広く行われています。契約前に手数料の仕組みと、面接指導1回あたりの実質的な費用感を必ず確認しておくことをおすすめします。

選択肢3:実施委託先の面接指導一括対応プラン

ストレスチェックの実施そのものを外部委託する場合、委託先によっては調査票の配布・回収から集団分析、高ストレス者への面接指導の手配までを1つの窓口で一括対応するプランを用意していることがあります。この場合、実施者(医師・保健師等)の手配と、高ストレス者が申し出た際の面接指導の手配の両方を委託先に任せられるため、自社で別途医師を探す手間そのものをなくせる点が特徴です。

一方で、面接指導が「オプション扱い」で別料金になっているサービスと、基本プランに含まれているサービスがあるため、契約前に対応範囲と料金体系を確認する必要があります。

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3つの選択肢を比較するとどう違う?

それぞれの選択肢には向き不向きがあります。自社の状況に応じて、単独で使うだけでなく組み合わせる考え方も有効です。

選択肢費用感対応スピード向いている会社
地域産業保健センター原則無料地域・時期による費用を抑えたい、まず相談したい会社
外部産業医紹介サービス紹介手数料・顧問料が発生比較的早い場合が多い継続的な産業保健体制を整えたい会社
実施委託先の一括対応プランに含まれる/別料金の場合あり実施と同時に手配できる実施運営ごと一括で任せたい会社

何を見極めればいい?チェックリスト

どの選択肢を選ぶ場合も、契約前に次の点を確認しておくと、いざ高ストレス者が出たときに慌てずに済みます。

  • 面接指導を依頼したいと思ってから、実際に医師と面談できるまでの目安期間を確認したか
  • 対面だけでなくオンライン面談に対応しているか(従業員の心理的ハードルを下げやすい)
  • 面接指導の費用が基本プランに含まれるか、別料金かを確認したか
  • 精神科・メンタルヘルス領域の対応経験がある医師かどうかを確認したか
  • 面接指導の結果、事後措置(就業上の配慮など)についてもアドバイスをもらえるか
  • 担当医師が変更・退任した場合の代替体制について説明を受けたか

助成金は使えるのか(正確な整理)

産業医活動や面接指導の費用について「助成金で実質無料にできる」という情報を見かけることがありますが、この点は正確な整理が必要です。個別の事業場が単独で申請できた「小規模事業場産業医活動助成金」等の助成金は、2022年11月9日をもって新規申請が廃止されています。

現在利用できるのは、独立行政法人 労働者健康安全機構(JOHAS)が実施する「団体経由産業保健活動推進助成金」です。これは事業場が単独で直接申請できる制度ではなく、商工会・商工会議所・事業協同組合といった団体を経由してのみ申請できる仕組みになっています。自社が加入している商工会等がこの助成金に取り組んでいるかどうかを確認するのが、実務上の第一歩になります。

よくある質問(FAQ)

Q. 産業医がいない会社でも、高ストレス者の医師面接指導は実施できますか?

A. 実施できます。面接指導を行う医師は産業医の資格を持つ必要はなく、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学的知識を持つ医師であればよいとされています。産業医と契約していない事業場は、地域産業保健センター、外部の産業医紹介サービス、ストレスチェック実施委託先が提携する医師などを通じて担当医を確保する方法があります。

Q. 地域産業保健センター(地さんぽ)の面接指導は本当に無料ですか?

A. 労働者数50人未満の事業場を主な対象に、医師による面接指導や健康相談などを原則無料で利用できます。ただし対応可能な件数や予約の取りやすさは地域やセンターの体制によって差があるため、繁忙期は予約が集中する可能性があります。最新の対応状況は最寄りの地域産業保健センターに直接確認することをおすすめします。

Q. 外部産業医紹介サービスと、ストレスチェック実施委託先が紹介する医師は何が違いますか?

A. 外部産業医紹介サービスは医師との契約仲介に特化しており、ストレスチェック自体の実施運営は別途自社や他の委託先で行う必要があります。一方、実施委託先が面接指導まで一括対応するプランは、調査票の配布から高ストレス者の判定、面接指導の手配までを1つの窓口で完結できる点が特徴です。どちらが適するかは、既に実施運営先が決まっているか、面接指導だけを外部化したいかによって変わります。

参考・出典

※本記事は制度の概要と実務上の考え方を分かりやすく解説するものです。従業員50人未満の事業場へのストレスチェック義務化は、改正労働安全衛生法(正式名称「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律」・令和7年法律第33号・2025年5月14日公布)に基づき、当初は労働政策審議会の政令案要綱・答申(2026年5月18日)で示されていましたが、その後、施行期日を定める政令(令和8年政令第195号・2026年6月10日公布)により2028年4月1日施行と正式に確定しました。実施方法等の詳細は今後の省令・指針の改正により変わる場合があります。50人未満の事業場には労働基準監督署への実施結果の報告義務は課されません(引き続き50人以上の事業場が対象です)。助成金については、個別事業場向けの申請制度は2022年11月9日に新規申請が廃止されており、現在利用できるのは商工会等の団体を経由する「団体経由産業保健活動推進助成金」(労働者健康安全機構)のみです。実施者・面接指導医の確保など実務上の詳細は事業場ごとに異なりますので、必要に応じて専門家・所轄の労働基準監督署にご確認ください。

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