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ストレスチェックの無料ツールと有料サービスの違い ―【50人未満向け】使い分けの判断軸

公開日:2026年7月8日 / 最終更新:2026年7月10日

🤖 3行でわかる無料ツールと有料サービスの違い

  • 厚生労働省が無料配布する「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」(最新版Ver.4.0、2025年12月17日公開)は、受検・結果出力・集団分析ができるが、実施者の確保や面接指導そのもの、労基署への行政報告データの提出代行は行わない。
  • プログラムのサポート窓口は設置・設定に関する技術サポートが中心とされ、制度の実施方法など専門的な相談には別途「産業保健総合支援センター」の無料相談窓口が設けられている(詳細は公式サイトでご確認ください)。
  • 有料の外部委託サービスは、無料ツールが対応しない「実施者の確保」「面接指導の手配」「集団分析結果の読み解き」等の人的対応を料金に含めて代行する点が主な違いである。
監修

監修:山下 勝之(C&C株式会社 代表取締役)

中小企業向けストレスチェック外部委託サービスの比較メディア「ストレスチェック比較ナビ」運営責任者。本記事は厚生労働省の公式サイト・公表資料をもとに作成し、内容を確認しています。

「ストレスチェックは厚生労働省の無料ツールで済むのでは?」という疑問を持つ方は少なくありません。結論を先に言うと、無料ツールにはできることとできないことがあります。この記事では、無料ツールの実際の機能と限界を一次情報で確認したうえで、有料の外部委託サービスで何が追加されるのか、自社に合うのはどちらかの判断軸を中立的に整理します。

厚生労働省が無料配布する「実施プログラム」とは

厚生労働省は、労働安全衛生法に基づくストレスチェックの実施を支援するソフトウェア「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」を無料で配布しています。公式サイト(stresscheck.mhlw.go.jp)で事業場の担当者がダウンロードして利用する形式で、個人が単体で使うことは想定されていません。

2026年7月時点の最新版はVer.4.0(2025年12月17日公開)で、マークシート回答機能の追加などが行われています。旧バージョン(Ver.3以前)は2026年3月29日以降起動できなくなるとされており、最新版は2028年11月10日まで利用できる案内になっています。バージョンや利用期限は今後も更新される可能性があるため、実際にダウンロードする際は必ず公式サイトで最新情報を確認してください。

プログラムに含まれる主な機能は、労働者が画面上でストレスチェックを受検する機能、受検状況の管理、あらかじめ設定した基準による高ストレス者の自動判定、個人結果の出力、部署などの集団ごとの集計・分析、その結果の出力、労働基準監督署への報告に使う情報の表示などです。

無料ツールでできること・できないことは?

無料ツールは「ストレスチェックというプロセスを回すためのソフトウェア」であり、制度運用に必要な「人が対応する部分」までは代行しません。公式サイトのQ&Aで確認できた範囲を整理すると、次のようになります。

項目できることできないこと・限界
受検・結果出力画面上での受検、個人結果の出力、集団分析
実施者の確保面接指導医の登録機能はある(登録は任意)実施者(医師・保健師等)そのものを紹介・斡旋する機能はない
面接指導面接指導の対象有無・実施有無等を記録する管理画面がある面接指導という行為自体はプログラムが行うのではなく、確保した医師が別途実施する必要がある
労基署への報告報告に使う情報の表示・データ作成公式Q&Aによれば、行政報告用データは「そのまま労働基準監督署へ提出」することはできない
サポート窓口プログラムの設置・設定に関するコールセンター対応(フリーダイヤルあり)制度の実施方法など専門的な相談は、別途「産業保健総合支援センター」の無料相談窓口が案内されている

つまり、無料ツールは「受検してもらい、結果を出し、集団分析する」というデータ処理の部分を無料で肩代わりしてくれますが、「誰が実施者になるか」「面接指導を誰が行うか」「行政への提出をどう仕上げるか」といった人と手続きが絡む部分は、事業場側で別途用意する必要があります。

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50人未満の事業場はどこでつまずきやすい?

常用労働者50人以上の事業場では産業医の選任が義務付けられているため、その産業医がストレスチェックの実施者を兼ねられるケースが多くあります。一方、50人未満の事業場には産業医の選任義務がなく、ストレスチェックの実施者(医師・保健師等)を自社で確保できていないケースが少なくありません。無料ツールは受検・分析の仕組みを提供しますが、この「誰が実施者になるか」という最初の壁そのものは解決してくれません。

また、従業員数が少ない事業場では、集団分析の単位が小さくなることで結果から個人が推測されやすく、プライバシー保護の観点で配慮がより必要になる傾向があります。結果の管理・保管を自社の担当者が行う体制を作れるか、高ストレス者が出た場合の面接指導の依頼先を確保できるかも、無料ツール導入前に検討しておきたい点です。

こうした事情から、厚生労働省の案内でも、50人未満の事業場については実施体制の整備が難しい場合に外部委託を選択肢として案内する記載があります。ただし「外部委託が必須」という意味ではなく、自社で実施者を確保できるなら無料ツールのみで運用することも制度上は可能です。実施体制の判断は自社の状況に応じて行う必要があります。

有料の外部委託サービスでは何が追加される?

有料の外部委託サービスは、無料ツールでは対応できない「人が対応する部分」を料金に含めて提供している点が主な違いです。サービスによって内容・範囲は異なりますが、一般的に含まれることが多い項目は次の通りです。

  • 実施者の代行:外部委託先の医師・保健師等が実施者となり、自社で実施者を確保する必要がなくなる
  • 産業医の紹介:自社に産業医がいない場合に、面接指導を担当する医師を紹介・手配するサービスがある
  • 集団分析の読み解き支援:数値の出力だけでなく、結果をどう職場改善につなげるかのアドバイスが含まれる場合がある
  • 労基署提出書類の作成支援:行政報告に必要な書類の作成をサポートするサービスがある
  • 多言語対応・複数の受検形式:外国人労働者向けの多言語対応や、紙・Web両対応など、無料ツール単体より選択肢が広いサービスもある

料金体系はサービスにより大きく異なります。基本料金+人数に応じた従量課金の場合や、50人未満向けの専用プランを設けている場合など様々です。正確な料金は各社への問い合わせで確認する必要があり、本サイトの他記事「外部委託の費用相場」も参考にしてください。

自社に合うのはどちら?判断軸

無料ツールを頭ごなしに否定する必要はありません。次のような状態であれば、無料ツールだけで運用できる可能性があります。

  • 自社に産業医や保健師など、実施者になれる医療専門職がすでにいる
  • 結果の管理・保管を担当できる人員と体制がある
  • 高ストレス者が出た場合の面接指導の依頼先(顧問医など)をすでに確保している
  • 労基署への行政報告に必要な書類作成を自社で対応できる、または社労士等の顧問がいる

反対に、次のような状態であれば、外部委託の活用を検討する価値があります。

  • 実施者となる医師・保健師の心当たりがない
  • 結果の管理体制や個人情報保護の仕組みに不安がある
  • 面接指導が必要になった場合の依頼先が決まっていない
  • 労務担当者の手が回らず、制度対応に割ける時間が限られている

無料ツールと外部委託は「どちらか一方を選ぶ」だけでなく、実施者は自社で確保しつつ、集計・分析だけ無料ツールを使う、あるいは面接指導の依頼先だけ外部委託するなど、部分的に組み合わせる運用も可能です。まずは自社にとって何が不足しているかを洗い出すことが、最初の一歩になります。不明点があれば、最寄りの産業保健総合支援センターの無料相談を利用する方法もあります。

よくある質問(FAQ)

Q. 厚生労働省の無料ツールだけでストレスチェックは完結できますか?

A. 受検・結果出力・集団分析はプログラム内で完結できますが、実施者の確保、面接指導の実施そのもの、労働基準監督署への行政報告データの提出は、プログラムの外で別途対応する必要があります。特に産業医がいない50人未満の事業場では、実施者の確保が最初のハードルになりやすい点に注意が必要です。

Q. 無料ツールと有料の外部委託サービスは、結局何が違うのですか?

A. 無料ツールはあくまで「実施を支援するソフトウェア」であり、実施者の手配・面接指導の実施・集団分析結果の読み解き・労基署提出書類の作成代行などは含まれません。有料の外部委託サービスは、これらの「人が対応する部分」を料金に含めて代行する点が主な違いです。料金体系や代行範囲はサービスによって異なるため、比較検討が必要です。

Q. 50人未満の事業場は無料ツールと外部委託、どちらを選ぶべきですか?

A. 断定はできませんが、判断軸としては「自社で実施者を確保できるか」「結果の管理・保管体制を作れるか」「高ストレス者が出た場合の面接指導の手配ができるか」が目安になります。これらに不安がある場合は、外部委託や産業保健総合支援センターの無料相談を組み合わせる方法が現実的です。

参考・出典

※従業員50人未満の事業場へのストレスチェック義務化は、改正労働安全衛生法(正式名称「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律」・令和7年法律第33号・2025年5月14日公布)に基づき、当初は労働政策審議会の政令案要綱・答申(2026年5月18日)で方向性が示され、その後、施行期日を定める政令(令和8年政令第195号・2026年6月10日公布)により2028年4月1日施行と正式に確定しました。実施方法等の詳細は今後の省令・指針の改正により変わる場合があるほか、実施プログラムのバージョン・利用期限・機能も今後変更される可能性があるため、実際の利用にあたっては必ず厚生労働省の公式サイトで最新情報をご確認ください。

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